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ふんどしおじさん(伊藤千史さん/毎日新聞より)

ふんどしおじさん             毎日新聞 2020/07/19 09:13

ギョロッと目を見開いて仁王立ちし、腰には白いふんどし――。
このむさ苦しいおじさんが静岡県内各地で引っ張りだこの人気となっている。
画家の伊藤千史さん(55)が「ふんどしのおじさん」を描き始めたのは2011年。ツイッターで発表していた作品の中に出現した。「ムキムキでモジャモジャのおじさんは面白いと思って。ファッションセンスがないので、どんな服を描いたらいいか分からず、じゃあふんどしでいいか、と」17年、地元の同県富士宮市での「まちなかアートギャラリー」で商店街の呉服店に登場し、注目された。
各地のギャラリーなどから「うちでもあれを」と次々に声がかかり、展示されるように。人気の理由は何なのか。「たけだけしさのおかしさ、かな。お笑い番組にも、ふんどしの芸人さんが出ますよね。日本人には『ふんどしは面白い』というベースがあるのでは」。おじさんを題材にした作品には、絵だけでなく、布とスポンジで作った人形などさまざまなバリエーションがあるが「自分で飾っておきたいかと言われれば、そうでもない。展示会場への搬入までは裏返したりしてますから」とも。ふんどし一丁で、ほぼ丸裸のおじさんは「公共の場での展示にふさわしくない」と批判されたことがあった。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で規制された経験もあり「どうやら、ふんどしで世界は狙えないらしい。でも地元で愛されていますから」。色を付けず、背景がなく、墨と筆を使って描く今のスタイルは「楽な方へ楽な方へと進んだら、こうなった。私の描きやすさだけです」と説明する。よく墨絵画家と紹介されるが、違和感を覚えるという。「墨絵というと、きちんとした日本画のイメージがありますよね。そういう絵を描いていらっしゃる方から、私の作品は『全然なってないな』と言われているらしいんです。そこを目指しているわけじゃないのに」子どものころから絵が好きで、高校時代は漫画研究会に所属。美術短大ではグラフィックデザインを学んだ。「普通の芸術家のような『私はこれを作りたい』という強い思いはないんです。絵が描けるなら何でもよかったんですよ」猫など他のテーマの作品も評価されているが、それらを吹き飛ばす勢いのおじさんブームを自ら楽しんでいるようだ。【長沢英次】
伊藤千史(いとう・ちふみ)さん
 1965年、静岡県富士宮市生まれ。富士宮東高から女子美術短大に進み、卒業後は東京で広告などの
デザインの仕事をした。富士宮に戻り、2014年に初個展。好きな漫画は望月三起也さんの「ワイルド7」。Img_5372 

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